『玉蟲厨子絵画研究』について

『玉蟲厨子絵画研究』は私が最も力を入れてきた研究です。 法隆寺蔵玉蟲厨子に描かれた絵画は、従来仏教図像学の中で解釈されてきましたが、さらにその奥に、仏教伝来以前からある仙界の図像を各画面に亘り読み取ることができました。 こうした様式を格義仏教様式と名付け、新たな解釈を試みました。 優れた仏画は経典の説明に止まらず、経典を表現するものであることがご理解していただけると思います。 また、従来の図像学(iconography)、図像解釈学(iconology)に加え、私の提唱する造形原理(画家の眼が如何に形体・空間を把握しているか。視覚活動の原理)、元型図像学(時代・文化の枠を越えた普遍的な生命体験に根差した図像)という方法論もご理解いただければ幸いです。

『阿修羅考』について

『阿修羅考』は阿修羅に関するエッセイと興福寺西金堂の諸像配置に関する研究です。 小論を通して、あらゆるものを網羅し秩序立てようとする奈良時代の古代網羅主義がご理解いただければ幸いです。

『長谷川等伯と堺の町衆』について

『長谷川等伯と堺の町衆』は、等伯の画業と人脈を論じたものです。かつて某会の会報に掲載した文を基に少し手を加えました。